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Bと連想したら、いきなりBBになった。

BBといえばブリジット・バルドー。

音楽の世界ならBBキングか。

釣りですぐに思い浮かぶのはブラック・バス(Black Bass)。

五月の連休に仲間何人かとテントを持って芦ノ湖に行ったことがある。

女房、子供連れのキャンプだったが男たちは焚火のまわりで朝まで酒を飲み、不遇な青春時代を取り戻した気になった。

けれども魚はちっとも釣れなかった。

夏のような高気圧がどっかりと腰を据えてアブラビレは深みへ引越したようだ。

腰まで水に浸かってむなしいキャストを繰り返していたら、誰かが、のんびりバスが釣りテェー、と言った。衆議一決して、山中湖へ民族大移動。そうして短パン、Tシャツで、大きな目玉のついたバルサヘッドのホッパーを投げたり、ディアヘアーのバスフライを水に浮かせた。

前も後ろも水平にまで倒す、180度キャストなんていう乱暴な投げ方が流行っていた時代なので、気がつくと夜中に酔眼で巻いたバスフライはヒラヒラもキラキラも脱ぎ捨てて、温泉街のストリップに出てくる栄養失調のおネエさんのようにヤセ細っていた。

夕方になるとサイクリング・ロードの柵に腰をかけてサオを振った。

頭に発泡スチロールをつけたフローティング・ニンフを水草の隙間に落とすと小バスが面白いように出てきた。

結局、毎日遊ぶことだけを考えていた、いい連休だった。

 

近くの公園の池にバスの子供が大量に湧いたことがある。

管理人に怒られるまで、子供たちに交じって赤虫で30ばかり釣った。

持って帰って水槽で飼っていたら、バスは毎日どんどん大きくなった。

そして不思議なことに数が減っていった。

水槽から跳びだしたのかと思ったが、どこにも干からびたミイラは落ちていない。

ある日、その原因を目撃した。

ほとんど同じ大きさの二尾が向かい合って口を大きく開け、相手を呑み込もうと闘った。

そして、ほんのちょっとの何かの弾みで一尾が相手の頭をくわえることに成功した。

体の半分以上は口からでていたが、それも半日くらいで胃袋の中へ消えていった。

生と死は、消失と存続は一瞬の偶然に支配されたのだ。

われわれだってバケツの水に脅かされる蟻の行列と同じように、地震や洪水や交通事故や通り魔など一瞬の偶然で運命がきまる。

そう考えたら少々の義理や人情や、仕事やカミさん孝行、子供の世話など向こうへ押しやって、一日でも余計に釣りに出かけたいと思った。

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