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K  カエシ


  英語ではBarb (ひげ) と言う、釣鈎の先についた小さな突起。

一度刺さった鈎先が抜けないように工夫したものだが、最近のキャッチ&リリース区間ではカエシのないバーブレス・フック使用と限定したところがほとんどだ。

最初からカエシなしで製造されている針を使うか、そうでないものはペンチでカエシを折ってやる。

そうすれば、魚を傷めずに針を外すことができるというわけだ。
 バーブレスの規制のない川で、バーブレスを使うか、カエシのある鈎を使うかは意見が分かれるが、カエシにこだわる釣人は以外に多い。

小生はカエシがないのが原因で魚をバラした経験はないのだが、そう断言するのは単なる思い込みかもしれない。

いずれにせよ、魚がバレた時、その原因はフッキングが甘かったせいか、バーブがあったために刺さりが悪かったのか、あるいはカエシがなかったために外れたのか、証明のしようがない。

そこで自分でいいほうに考えるより仕方がないのだ。
 管理釣り場のスーさんの池では、風の強い日に、耳やら、頬っぺたやら、唇に派手なストリーマーをブッ刺した、ネイティブ・ニューギニアンの祭りの衣装のように着飾った釣人が管理人室にやってくる。

それが友人の場合は、応急処置でスーさんはそれを外してやる。

やり方は鈎をそのカーブに合わせて肉の中へ押し込み、捻り、鈎先を外へだしてカエシをペンチでつぶし、カーブに合わせて針を逆戻りさせ解放するのだ。
 小生もミスキャストをして鈎を刺したことがある。

14番のドライフライを左手の甲に刺した。

そのころはまだバーブレスにしていなかった。

スーさんを真似て、右手で鈎を押し込み、中から鈎先がでるようにまわした。人間の皮膚とは丈夫なもので、鈎先が皮を持ち上げて、そこだけがとんがるが皮を破れない。上から押してやることが必要なのだ。

鈎は左手の甲に刺さっている。

右手は親指と人差し指で鈎をつまんでいる。

どうしても、手がもう一本必要だが、一人で抜け駆けしたイヴニングだった。

あたりには誰もいない。

川原の石に座って、深呼吸をして、ただ力で引っこ抜いた。

脂汗がでて、ショック症状で震えがきた。

14番のちいさなカエシがあんなに痛いとは思わなかった。

だから、サーモンフックの場合は想像もしたくない。
 その後、ずっとバーブレスだ。

30年間。そのせいでバラしたことはない、(ここが大事なのだが)と、勝手に信じている。

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