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 Loop to Loop   ループ トゥ ループ

 二本の糸の結び方で、糸の端に作った輪の中にもう一方の輪を通す結び方。

 たとえば、フライラインの先にループを作っておき、テーパーリーダーのバット側にループを作れば輪の中に輪を通して、リーダーを簡単に接続したり、交換したりできる。

 シャルル・リッツはイブニングの釣りでトラブルが起きた時、暗い中での作業が難しいので、フライをセットしバットにループを作った予備のリーダーを帽子に巻いておき、いざという時にループ・トゥ・ループでリーダーごと交換してしまう、と書いていた。リーダー全体でなくともチペット部だけフライをセットしておいて交換してもいいかもしれない。

 シンクチップラインやスペイラインを自分で作る時にはこの接続方法は欠かせない。この接続方法を知らない頃、フライラインを切るというのは度胸のいる仕事だったけれど、ラインの芯でループをつくって繋ぐこの方法を覚えてからはだいぶ気が楽になって、ライン設計の試行錯誤を繰りかえすことができるようになった。こうして作った接続部は問題なくガイドを通過してくれるし、キャスティング中のラインの軌道がそこで折れることもない。そこで設計が完成すればもっと別の固定的な接続方法があるが、仮設にはこちらが簡単だ。

 ループ・トゥ・ループはまた太さの違うものを接続させる際には確実性の高いやり方で、大きく太さの違うロープを繋ぐ時の方法としては、アルピニストも輪に輪を通して結束する。

 ループ・トゥ・ループを日本語に訳せば『輪を輪へ』となるが、そんなことを考えていたら、『和を和へ』という文字が浮かんだ。語呂合わせもセンスも警察か消防署の標語みたいで情けないが、最近の国際情勢のもつれや抗争を見るにつけて、なんとかならないかという思いがこんな連想をさせたのかもしれない。習慣や考え方の大きく異なる国や民族をつなぐにはループ・トゥ・ループのような便利ななにかが見つけられないものかと思案する。年のせいで気力が衰えそんなことを考えるのかもしれないが、まあ、ケンカばっかりするより釣りでもしていた方が、神様が天国へ入れてくれる可能性が高いに違いない。ダンテの『神曲』地獄篇を読んでいたらそんな気がした。

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