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G  Gape ゲイプ
 鈎の軸と鈎先の距離。日本語では〈フトコロ〉という。

言い得て妙だ。表現の仕方が即物的でなく、奥行きと拡がりがある。日本人の言語感覚に乾杯。
先日〈ギャップ〉と説明してある資料を見て、小生と同じ意見だ、と感動した。

昔、英語に詳しい人が、日本では〈ゲイプ〉と言うけど、本当は〈ギャップ〉に違いないと説明したのを覚えていて、それを信じていたから。

みんなは知らないけどオレのほうが正しい、と思いたいスケベ根性が小生の認識を狂わせていたのだろう。
『考え方にギャップがある』などと使われるように、〈ギャップ=Gap〉には、「へだたり」、とか、「割れ目」、「相違」、というような意味があって、だから鈎の軸と鈎先のひらきを表すのだと考えていたのだ。字引も引かずに。
 この原稿を書くにあたって、『ゲイプは本当はギャップ』と言おうとして調べたら、〈ゲイプ=Gape〉のほうには、「ぽかんと口を開ける」、「貝などがぱくりと開いている」、そして、「大きな口を開けてあくびをする」という意味があって、やはりこちらのほうが、さらにピッタリする。

アメリカの釣り事情に詳しい人に電話を掛けたら、〈ゲイプ〉が正しいと言うし、イギリス通に訊いても同じ答えだったので、日本でも〈ゲイプ〉で間違いない。
 小生の家の近くにあった古い団地が、すっかり建て直されて、北欧の集合住宅のようになった。

ついでに〈荻窪団地〉という呼び名も変わって、〈シャレール荻窪〉などというシャレた名前になった。先日、横文字で書いてある看板をみたら〈Chaleureux〉となっていた。

「暖か味のある」とか「真心のこもった」という意味のフランス語で、原語の発音に近い表現をすれば〈シャルルー〉となる。

それを故意に呼びやすい名前に換えたのだろう。

そうした例はたくさんあって、何十年か前、わたしの友人がフランスのスキー靴を輸入して〈レタポア〉という名前で売り出した。

原語では〈Le Trappeur=罠を使う狩人〉で〈ル・トゥラプール〉が近いが、そんな名前じゃ売れないと言っていた。

これなどは確信犯で、言語的に別物であっても固有名詞だから、一向に差支えないわけだ。まあ、映画の題名と同じようなものだろう。

『欲望のヴァージニア』という映画があったので、色っぽいお姐さんがたくさんでてくるのかと思ったら、根性のあるおニイさんばかりがでてきた。

原題は『Lawless』で『無法の町』という感じだが、映画の配給会社が、その言葉では客を呼び込む力がないと踏んだのだろう。

色っぽいお姐さんも一人だけはいて、映画は禁酒法時代の悪徳警官と戦った兄弟の話で、よくできていて、おもしろかった。

 

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