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C シーディーシー (CDC)
カモの肛門のまわりに生えている脂分の多い羽毛のこと。
あるいはそれを使ったドライフライ。
シーディーシーというと、なにか舶来物の上品な匂いがするが、原語はフランス語でCul de Canard (キュ ドゥ カナール)。
意味は“カモのケツ”。
Culはケツ、尻を言う。
最後のエルは発音しない。
ちなみに、リストワール・ドゥ・キュといえば猥談のこと。
昔はフランス人にもデリケートな物事は直接的に言わない美徳があったようで、肉体の部分に関してはしばしばその直ぐそばにあるもので代用した。
ブラジャーはスチアン・ゴルジュ(Soutien gorge)でゴルジュは喉のこと。だから直訳するとブラジャーは “乳押さえ”ではなく“喉押さえ”。
キュはどうもケツというよりも陰部を指す意味合いが強い。
ドライフライに威力を発揮するこの材料も、釣り人が命名したものだから品のないことこの上ない。
カモのケツの毛をフライに使うことを思いついたのは、スイスのジュラ山脈中の小さな村、ヴァロルブ(Vallorbe)の釣り人。
この村は一度通ったことがある。
あんまりいい川が流れていたので川岸のレストランで食事をしたら、食べている間に大きな鱒のライズリングが五回見えた。
フランスとの国境にあたるので、通る人の少ないさびれた税関と出入国管理事務所がある。
そこで三時間足止めを食った。
パスポートを取り上げたまま返してくれない。
あとで考えたら、当時世界中を騒がせていた日本赤軍と間違えられたらしい。
田舎の入管の役人が張り切ってパリへ電話で問い合わせ、返事が来るのに時間がかかったのだろう。
今度は何時間待たされてもいいようにサオを持っていこう。
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